アートセラピーについて


くものいすコースは、絵画・造形の芸術療法を取り入れたコースです。くものいすコースについてもう少し詳しくお話したいと思っているのですが、その前に絵画・造形の芸術療法(アートセラピー)について簡単に説明したいと思います。



1. アートセラピーって何?

音楽を奏でたり、歌ったり、踊ったり、絵を描いたりというようにわたしたちは言葉以外にも表現方法をもち、複雑で曖昧な感情も表現することができます。


このような潜在的な表現能力を通して、心の問題に取り組み、心身の改善を目指すことを芸術療法(=Expressive Arts Therapy)といいます。

芸術療法にはアートセラピーの他にもミュージックセラピー、ドラマセラピー、ダンスセラピー等があり、アートセラピーは主に描画や造形を通しておこなわれます。

基本的に芸術療法は精神科や心療内科などの医療機関で専門医の指示により、適切なタイミングに適切な方法でおこなわれます。ですのであくまでも補助的な役割を担っています。

2. だれに対しておこなわれるの?

子どもからお年寄りまでだれもが対象です。

とくに精神的支えが必要な方や、言葉でのコミュニケーションが難しい方に適しています。

また、人間関係が上手くいかないなど、日常にストレスを感じている方にとってもアートセラピーは心身をリセットする良いきっかけを与えてくれます。このような予防医学としてもアートセラピーは用いられます。

3. どういうところで行われるの?

精神病院、心療内科、緩和ケア、介護施設などの医療・福祉施設、教育機関

(欧米やアジア諸国) 4. どのような効果があるの?

  • 心身のさまざまな障がいの回復(心身の統合)

  • ストレスの緩和、ストレス耐性を高める

  • 感情の浄化

  • 自己洞察の深化

  • 自己肯定感の向上

  • 想像力、創造力の向上

  • 自己表現力の向上

5. どのようにアートが治療の助けになるの?

制作は知覚、感情、思考、記憶に深く関わりをもち、それらの領域に様々な刺激を与えてくれます。

たとえば、素材に触れることで知覚が刺激され、色彩をもちいた描画は感情に働きかけ、鉛筆での描画は思考を促すと言われています。度々思い起こされる辛い記憶やその時に抑圧された感情は制作を通して、時を戻してアプローチが可能になります。

さらに手元に作品が残ることもアートセラピーの大きな特徴です。作品を通じてコミュニケーションをはかることができ、無意識的に表現されるものから気づきを得たり、過去の作品の経緯をたどることにより、表現の変化や度々描かれるモチーフやテーマなどを発見することができます。 このように、アートセラピーでは制作プロセスと作品を通して、心のケアに取り組んでいくことができます。


※個人的見解も含まれてます。

6. アートセラピーの歴史

アートセラピーはアメリカとイギリスを中心に20世紀初旬から花開いた分野です。1930年代に、アメリカ・カンザスのメニンガー・クリニックでは精神科の患者さんのために、アートを用いたグループ療法が行われ、精神医療におけるアートの最初の導入だといわれています。アメリカにおけるアートセラピーのパイオニアはマーガレットナウムブルクという1940〜1950年代に活躍した女性の精神科医です。彼女は生涯を通じて自由な教育、心理学と精神分析の研究、そしてアートセラピーの開発に情熱を注ぎました。

ドイツでではシュタイナーの理論に基づいた人智学医療がアートセラピーの先駆けとなりました。人智学医療における芸術療法の礎を築いたのはマルガレーテハウシュカという女性の医師で1960年代の頃です。

彼女は「芸術行為の目的は作品にあるのではなく、作品が生み出されるプロセスそれ自体にある」と述べ、制作行為が患者さんの内なる能動性へと導き、結果的に心の滋養、治療となることを説いています。


(関則雄「臨床アートセラピー ー理論と実践ー」日本評論社を参照)

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